中小企業こそ、早めに「人事の土台」をつくるべき理由
人事部がない会社が今から整える5つの仕組み
「うちはまだ社員数が少ないから、人事は必要ない」
そう考えている中小企業は、決して少なくありません。
社員が10人、20人程度であれば、
- 採用は社長が担当する
- 面接は現場責任者が行う
- 入社後の教育は先輩社員に任せる
- 評価は社長や上司の判断で決める
- 社員からの相談には、その都度対応する
といった方法でも、会社を運営することはできます。
しかし、社員数が増えてくると、少しずつ「人」に関する問題が表面化してきます。
「採用したけれど、思っていた人材と違った」
「新人教育を誰が担当するのか決まっていない」
「社員によって評価の基準が違う」
「社長が採用や社員の相談に時間を取られている」
「これまでのやり方では、社員数の増加に対応できない」
こうした問題を防ぐために重要なのが、人事の土台づくりです。
人事部や専任の人事担当者をすぐに置く必要はありません。
大切なのは、会社がまだ小さい段階から、採用・育成・評価・組織づくりについて会社としての考え方を整理しておくことです。
この記事では、中小企業が早い段階から人事の土台をつくるべき理由と、まず整えておきたい5つの仕組みについて解説します。

中小企業に人事は必要?「人事部がないこと」自体が問題ではない
まず、誤解してほしくないことがあります。
「人事部がない=問題のある会社」ということではありません。
社員数が少ない会社で、専任の人事担当者を置くのが難しいケースは当然あります。
では、何が問題なのでしょうか。
それは、採用・教育・評価などの「人」に関することを、その場その場の判断だけで進めてしまうことです。
たとえば採用の場合、
「人が足りなくなったから、とりあえず求人を出そう」
という状態になっていないでしょうか。
この場合、
- どんな人を採用したいのか
- なぜその人に来てほしいのか
- 自社にはどんな魅力があるのか
- 入社後にどのように成長してほしいのか
- 面接では何を確認するのか
といったことが曖昧なまま採用活動を進めることになります。
これは採用だけではありません。
教育も、
「先輩について仕事を覚えてもらう」
評価も、
「頑張っている人を評価する」
というだけでは、社員が増えたときに判断基準がバラバラになりやすくなります。
つまり、中小企業に必要なのは、最初から大きな「人事部」をつくることではありません。
会社として「人」にどう向き合うのかを整理すること。
これが、人事の土台づくりです。
なぜ中小企業は「人事の仕組み」を早めにつくるべきなのか?

会社が10人のときと、50人になったときでは、人事の仕組みを整える難易度が大きく変わります。
その理由の一つが、これまでのやり方が組織の中に定着してしまうからです。
例えば、
「昔からこのやり方だから」
「社長がそう言っていたから」
「前に○○さんを採用したときはこうしたから」
といった判断が積み重なっていきます。
社員が増えてから、
「これからは評価制度をきちんとつくろう」
「採用基準を統一しよう」
「教育制度を整えよう」
と考えても、すでに社員ごとに認識や経験が異なっているケースがあります。
一度できあがった組織の習慣を変えるには、時間も労力も必要です。
だからこそ、会社がまだ小さい段階で、最低限の人事の考え方やルールを整理しておくことが重要なのです。
中小企業がまず整えたい「5つの人事の土台」
では、具体的に何から始めればいいのでしょうか。
最初から立派な人事制度をつくる必要はありません。
まずは、次の5つを整理してみましょう。
① 採用基準|「どんな人と働きたいのか」を決める
人事の土台づくりで、まず考えたいのが採用です。
採用というと、
「どの求人媒体を使うか」
「求人広告をどう書くか」
「応募者をどう集めるか」
といったことを考えがちです。
しかし、その前に重要なのが、
「自社では、どんな人が活躍するのか?」
を明確にすることです。
例えば、
「明るい人」
「コミュニケーション能力が高い人」
だけでは、少し抽象的です。
それよりも、
- 分からないことをそのままにせず、自分から質問できる
- お客様との約束を大切にできる
- 周囲と協力して仕事を進められる
- 新しい仕事にも前向きに取り組める
- 地道な仕事にも責任を持って取り組める
など、実際の仕事で必要になる行動まで言葉にしてみましょう。
採用基準が明確になれば、
- 求人票の内容
- 採用広報
- 面接質問
- 合否判断
- 入社後の教育
まで、一貫性を持たせやすくなります。
② 会社の魅力|「なぜ、この会社で働くのか」を言葉にする
「うちの会社には、特別な魅力なんてないよ」
経営者の方から、そんな言葉を聞くことがあります。
しかし、会社にとって当たり前のことが、求職者にとって魅力になるケースは少なくありません。
例えば、
- 社長との距離が近い
- 若手でも仕事を任せてもらえる
- 未経験から仕事を覚えられる
- 地域のお客様と長く付き合っている
- 家族との時間を大切にできる
- 社員同士で助け合う文化がある
- 自分の意見を提案しやすい
などです。
これらは、給与や福利厚生のような「条件」だけではありません。
「この会社では、どんな働き方ができるのか」
という、会社そのものの魅力です。
採用活動は、企業が応募者を選ぶだけではありません。
求職者から「この会社で働きたい」と選んでもらう活動でもあります。
だからこそ、
「自社は何を大切にしている会社なのか?」
を言葉にしておくことが大切です。
③ 人材育成|「入社した後、どう育てるのか」を決める
採用できたら、人事の仕事は終わりではありません。
むしろ、本当のスタートは入社後です。
中小企業では、
「入社したら、とりあえず先輩について仕事を覚えてもらう」
という教育方法も珍しくありません。
もちろん、現場で仕事を覚えることは重要です。
しかし、教育担当者によって教える内容が変わると、新入社員が「誰から教わるか」によって成長スピードが変わってしまう可能性があります。
そこで、最低限でも、
- 入社1か月目にできるようになってほしいこと
- 3か月後に任せたい仕事
- 半年後に身につけてほしいスキル
- 1年後に期待する役割
など、成長の目安を設定してみましょう。
これだけでも、新入社員にとって、
「自分は何を覚えればいいのか」
が分かりやすくなります。
また、上司や先輩社員にとっても、
「何を教えればいいのか」
が明確になります。
人材育成の仕組みは、社員を縛るためのものではありません。
社員が成長するための道しるべとして考えることが重要です。
④ 人事評価|「何を頑張れば評価されるのか」を明確にする
社員が増えるにつれて、問題になりやすいのが「評価」です。
「頑張っている人を評価しています」
という会社は多いですが、
「頑張っている」とは、具体的に何を指すのでしょうか?
例えば、
- 売上
- 業務の正確さ
- お客様からの信頼
- 後輩の育成
- チームへの貢献
- 新しいことへの挑戦
- 業務改善への取り組み
など、会社によって評価したいポイントは異なります。
ここが曖昧なままだと、
「何を頑張れば評価されるのか分からない」
という状態になってしまいます。
人事評価制度は、単に社員を順位づけするためのものではありません。
「会社として、どんな働き方を大切にしているのか」を社員に伝える仕組みでもあります。
だからこそ、社員数が少ない段階から、少しずつ考えておく価値があります。
⑤ 企業理念・価値観|「会社として大切にすること」を共有する
最後に整理したいのが、会社としての価値観です。
これは、難しい経営理念を新しくつくるという話ではありません。
例えば、
- お客様との約束を守る
- 仲間を大切にする
- 挑戦する人を応援する
- 安全を最優先する
- 地域に貢献する
- 誠実な仕事をする
など、
「この会社では、こういうことを大切にしたい」
という考え方を言葉にすることです。
社員が少ないうちは、社長が直接伝えることができます。
しかし、社員が増えると、社長が一人ひとりに考え方を伝えることは難しくなります。
だからこそ、会社として大切にする価値観を共有しておく。
それが、組織が大きくなったときの判断基準になります。
人事の土台は「社員が増えてから」ではなく「増える前」に

ここまで読んで、
「でも、うちはまだ社員10人だから……」
と思った方もいるかもしれません。
実は、だからこそ今から始めることに意味があります。
社員10人のうちに、
- どんな人を採用したいのか
- どんな会社にしたいのか
- 社員をどう育てたいのか
- どんな働き方を評価するのか
- 会社として何を大切にするのか
を考えておけば、社員が20人、30人、50人になったときにも、その考え方を引き継ぎやすくなります。
反対に、何も決めないまま社員数だけが増えてしまうと、
「人は増えたけれど、会社の仕組みが追いついていない」
という状態になってしまう可能性があります。
会社の成長に合わせて人事を考えるのではなく、
人事の土台を整えることで、会社の成長を支える。
この視点が、中小企業の人事には重要です。
「人事部をつくる」のではなく「人事が機能する会社」をつくる
「人事」と聞くと、
「人事担当者を採用しなければいけない」
「人事部を新しくつくらなければいけない」
と思うかもしれません。
しかし、本当に大切なのは部署の名前ではありません。
例えば、
- 採用について考える人がいる
- 採用基準が決まっている
- 入社後の育成方法が整理されている
- 評価について共通の基準がある
- 会社として大切にする価値観が共有されている
- 社員が相談できる環境がある
こうした状態を少しずつつくっていくこと。
それが、人事の土台づくりです。
専任の人事担当者がいなくても、できることはたくさんあります。
中小企業の人事は「完璧」を目指さなくていい
人事制度というと、
「評価制度をつくらないといけない」
「キャリア制度が必要」
「研修制度を整えないといけない」
と、難しく考えてしまうかもしれません。
しかし、最初から完璧な仕組みをつくる必要はありません。
まずは、
「採用」「育成」「評価」「価値観」について、自社ではどう考えるのかを言葉にする。
ここから始めてみましょう。
例えば、
採用
「こんな人と働きたい」
育成
「入社後、ここまで成長してほしい」
評価
「こういう働き方を評価したい」
価値観
「会社として、これだけは大切にしたい」
この4つを整理するだけでも、人事の土台は少しずつできていきます。
人事の仕組みづくりで、こんな悩みはありませんか?
もし、次のような状況に当てはまるなら、人事の土台を見直すタイミングかもしれません。
- 人事担当者がいない
- 社長が採用活動を担当している
- 採用するたびに判断基準が変わる
- 面接で何を聞けばいいか分からない
- 入社後の教育を現場任せにしている
- 社員によって評価基準が違う
- 社員が増えてきて組織づくりが追いついていない
- 採用しても早期離職が続いている
- 人事について相談できる人が社内にいない
一つでも当てはまる場合は、採用だけではなく、会社の人事全体を一度整理してみることが大切です。
とうすやが支援する「人事の土台づくり」

とうすやでは、採用活動だけではなく、企業の成長段階に合わせた「人事の仕組みづくり」を支援しています。
例えば、
- 採用戦略の整理
- 求人作成・改善
- 採用活動の内製化
- 採用フローの整理
- 面接設計
- 人事部の立ち上げ支援
- 人材育成の仕組みづくり
- 人事制度・評価制度の整理
- 採用広報・企業ブランディング
など、企業ごとの課題に合わせて支援しています。
「採用はできているけれど、人事の仕組みがない」
「社長が採用や人事を抱えていて、本業に集中できない」
「社員が増えてきて、これまでのやり方では限界を感じている」
そんな企業こそ、一度「人事の土台」を見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ|中小企業こそ、今から人事の土台をつくろう
人事は、問題が起きてから整えるものではありません。
むしろ、
「まだ大きな問題になっていない段階」から準備しておくものです。
採用。
育成。
評価。
組織づくり。
どれも会社が成長するほど重要性が増していきます。
だからこそ、社員が少ない段階で完璧な人事制度をつくる必要はありません。
まずは、
「どんな会社にしたいのか?」
「どんな人と働きたいのか?」
「社員にどう成長してほしいのか?」
「会社として何を大切にするのか?」
この4つを考えてみる。
それだけでも、人事の第一歩になります。
会社が大きくなってから人事を考えるのではなく、人事の土台をつくりながら会社を成長させる。
これから人を増やしていきたい中小企業にこそ、そんな考え方が必要なのかもしれません。
株式会社とうすやについて

株式会社とうすやは、採用・人事のパートナーとして、企業の「人」に関する仕組みづくりを支援しています。
採用活動の支援だけでなく、採用を自社で回せる状態をつくる「採用内製化支援」や、人事部の立ち上げ、人事制度・人材育成の仕組みづくりまで、企業の成長段階に合わせて伴走しています。
「人事担当者がいない」
「社長が採用・人事を兼任している」
「社員が増えてきて、人事の仕組みが追いついていない」
そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
